大切な人との別れは、いつ訪れるかわからないものです。心の準備ができていないまま突然迎えることもあり、深い悲しみの中で葬儀の準備を進めなければならないのは、とてもつらいことです。そんな状況の中で、経済的な負担まで抱えるとなると、不安な気持ちがさらに募ってしまうのも無理はありません。
しかし、葬儀費用が用意できないからといって、最期のお別れを諦める必要はありません。実は、公的な支援制度や、費用を抑える方法があります。葬儀の形式を見直したり、分割払いを利用したりすることで、経済的な負担を和らげることができます。大切な人とのお別れの時間を、少しでも安心して迎えられるように、利用できる制度や具体的な対処法について一緒に確認していきましょう。
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葬儀費用はいくらかかるの？相場を知っておこう
葬儀費用の相場は年々変わってきています。実際どの程度かかるのかを知っておくことで、少し不安を取り除けるかもしれません。以下にて詳しく解説しますので、葬儀費用の相場がどの程度になるのかを知り、納得のいくお別れを迎えましょう。
一般的な葬儀費用の平均相場はどのくらい？
2022年の全国調査によると、一般的な葬儀にかかる費用の平均は約111万円となっています。
葬儀一式の基本費用には、祭壇や供花、会場費、人件費などが含まれており、地域や葬儀社によって金額の違いも出てきます。
2020年の調査では約184万円と高額でしたが、新型コロナウイルスなどの影響により、葬儀の簡素化が進んだことで、費用を抑える傾向が広まったのでしょう。近年は参列者数を絞った小規模な葬儀が増加し、費用面でも見直しが進んでいます。
なお、お布施や寸志など当日包む現金は、平均相場に含まれていません。住職へのお布施は宗派や地域によって相場が異なり、一般的に3万円から10万円程度が目安となります。
葬儀費用は誰が負担するのが一般的？
一般的に、葬儀費用は喪主が負担するとされています。喪主は、故人の配偶者や長男、長女など、故人と最も近い立場の人が務めることが多いです。
法律で指定されているわけではないため、葬儀費用は親族間で分担することも可能です。特に、費用が高額になりそうな場合は、事前に話し合っておくと良いでしょう。
参列者からの香典は喪主のものとして扱われ、葬儀費用の一部として充当することができます。
香典の金額は、親族や友人、会社関係など、故人との関係性によって異なります。一般的に、親族は3万円から5万円、友人や会社関係は5千円から1万円程度が目安です。
支払いのタイミングはいつ？
葬儀費用の支払いは、通常、葬儀後7日間から10日間以内の現金一括払いです。葬儀社によっては、当日に内金が必要な場合もありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
故人の遺言や相続について確認しておくことで、葬儀費用の支払い方法をスムーズに決められます。遺産分割協議が済んでいない場合は、葬儀費用の支払いについて、話し合いの内容に含めておくことをおすすめします。
故人の預貯金から葬儀費用を直接支払えるケースもありますが、銀行などでの手続きが必要になります。支払い方法は現金以外にも、クレジットカードでの支払いや、葬儀ローンを組むことも可能です。
葬儀費用が払えないときの公的支援制度
経済的な理由で葬儀費用の支払いが難しい場合でも、国や自治体からの支援制度を利用できることをご存知でしょうか。制度によって対象者や給付額が異なりますので、自分の状況に合った支援を探してみましょう。
葬祭扶助制度とは？
葬祭扶助制度は、生活保護受給者や経済的に困窮している人を対象とした支援制度です。葬儀費用の負担が難しい場合に、行政が費用の一部を援助する仕組みとなっています。
支援される金額は自治体により異なりますが、おおむね20万円前後となっています。火葬費用や祭壇設置費など、葬儀に必要な費用をまかなうことができます。申請には、世帯の収入状況や預貯金残高などの資料提出が求められます。
申請は、お住まいの市区町村の福祉課で受け付けています。制度の利用条件や必要書類は自治体によって異なるため、お住まいの地域の担当窓口で確認するようにしましょう。
健康保険からの給付金制度
加入している健康保険の種類に応じて、「埋葬料」や「葬祭費」という名称で給付金を受け取ることができます。国民健康保険、健康保険組合、共済組合など、どの保険に加入されているかによって、給付金の名称や金額が変わってきます。
給付される金額は自治体により異なりますが、一般的に5万円から7万円程度となっています。給付金の申請には、葬儀の領収書や死亡診断書（写し）、申請者と故人の関係性を証明する書類などが必要です。
申請期限は2年以内となっています。給付金は葬儀費用の支払い後に支給されるため、すぐに役立つものではありませんが、事後的な補填になります。
市民葬（区民葬）の活用
市民葬（または「区民葬」）は、自治体が指定した葬儀会社と提携して行う葬儀の制度です。地域住民の経済的な負担を少しでも軽くするために、自治体が葬儀社と契約を結んで、費用を抑えた葬儀プランを用意しています。
通常の葬儀と比べて、かなり費用を抑えることができます。自治体が葬儀社をしっかりと審査しているため、信頼性の面でも安心です。基本的な設備や必要なサービスはきちんと整っていて、簡素ながらも、故人の尊厳を保った葬儀を執り行うことができます。
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葬儀費用を抑える具体的な方法
葬儀の形式を工夫することで、費用をかなり抑えることも可能です。大切なのは、必要な要素を残しつつ、故人と遺族の希望に沿った形式で執り行うことです。費用を抑えることは、決して故人への敬意を損なうものではありません。
葬儀の形式を見直す
火葬式（直葬）を選択すれば、10万円から40万円程度で執り行うことが可能です。火葬式は、通夜や告別式を行わず、火葬のみを執り行う形式です。最近では、このような簡素な葬儀が好まれています。
一日葬を選択することで、通夜にかかる費用を抑えることができます。宿泊を伴う通夜の費用や、通夜ぶるまいの費用が不要となります。
家族葬にすることで、会場費や返礼品の費用を削減することができます。親しい人だけで故人をお見送りすることで、心のこもった葬儀を実現できます。会場は小規模なスペースで十分なため、費用もかなり抑えられます。
複数の葬儀社を比較する
葬儀社によって費用は大きく異なるため、複数の業者から見積もりを取りましょう。比較するときは、基本プランに含まれるサービスの内容をよく確認することが大切です。
見積もりの内訳もしっかりと確認して、わからない点があれば遠慮なく質問してください。後から追加料金が発生する可能性のある項目については、事前に詳しい説明を求めましょう。見積書には、会場費、祭壇料、人件費など、費用の詳細が記載されているので、必ず確認を怠らないようにしてください。
必要な基本項目とオプションの項目をはっきりと区別することで、無駄な支出を防ぐことができます。
本当に必要なものかどうか、じっくりと見極めましょう。
葬儀ローンの活用
葬儀社が提携している信販会社で、分割払いを利用することができます。葬儀ローンは、一般的な消費者ローンと比べて金利が低く設定されている場合が多いです。
審査は比較的早く進められ、場合によっては即日融資が可能です。通常のローンと同じように、収入証明書などの書類提出が必要となりますが、葬儀の性質上、審査は迅速に行われます。
金利は3%から8%程度が目安となっています。分割払いの期間は、通常6か月から60か月まで選択できるのが一般的です。ただし、借入れ時には、金利以外の手数料についてもしっかりと確認しておきましょう。
親族間での費用分担の方法
葬儀費用の分担について、親族間で話し合う機会は多くあります。それぞれの経済状況が違っていても、スムーズな話し合いができるよう、分担方法の具体例や気をつけるべきポイントについて見ていきましょう。
相続人での分担方法
年収や年齢から負担割合を決めることで、公平感を出すことができます。高収入の相続人が多めに負担するなど、状況に応じて話し合いましょう。
事前に話し合って合意を得ることで、後々のトラブルを防ぐことにつながります。話し合いの場では、それぞれの意見を尊重し、全員が納得できる議論を心がけることが大切です。
分担時のトラブルを防ぐポイント
分担の割合は必ず書面で残し、後日の確認ができるようにしましょう。メールや手紙でのやり取りも、記録として残るのでおすすめです。分担する金額と支払いの期限を、全員の合意の上で決めましょう。
香典を葬儀費用に充てる場合は、あらかじめ関係者全員で共有しておくと良いでしょう。気をつけるべきポイントを知っておくことで、未然にトラブルを防ぐことができます。
遺産からの支払い方法
葬儀費用は、故人の預貯金から支払うこともできます。金融機関によって手続き方法は異なりますが、一般的に死亡診断書のコピーと葬儀費用の見積書が必要となります。
支払いには相続人全員の合意が必要となりますので、こちらも事前に話し合っておくとスムーズです。葬儀費用は相続税の計算時に控除することができるので、確定申告まで領収書などは大切に保管しておきましょう。
まとめ
葬儀費用の支払いは、突然の出来事で準備が整わないことも多いものです。しかし、公的支援制度の活用や葬儀の形式見直し、親族間での分担など、対応方法は多く存在します。
経済的な不安を抱えながらの葬儀準備は、心身ともに大きな負担ですが、最期の別れに影を落とすことのないよう、費用面での心配は極力取り除いておきましょう。
葬儀費用について不安がある場合は、当サイトで紹介している葬儀トラブルや、相続問題に強い司法書士事務所や弁護士事務所に相談することをお勧めします。一人で抱え込まず、専門家のアドバイスを受けることで、あなたに合った解決策が見つかるかもしれません。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
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