親の介護費用が重くのしかかり、日々の生活が厳しくなっているご家庭も少なくありません。在宅介護で月に数万円、施設入居となれば十数万円かかることも珍しくなく、一時的な出費も含めると、総額で数百万円に及ぶケースも多いのが現実です。
親の年金だけでは賄えず、子ども世代が負担を強いられる状況も増えています。この記事では、そうした介護に関する経済的負担に悩む方に向けて、活用できる支援制度や民間サービス、備えておくべき対策について詳しく解説します。
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親の介護費用が家計を圧迫する理由
介護は、予期せぬタイミングで始まることが多いものです。病気や転倒、認知症の進行などによって突然必要になる場合もあり、準備が整っていないまま家計が圧迫されていく状況が目立ちます。介護にかかるお金を正しく把握し、生活全体の収支を見直すことが、経済的な負担を和らげる第一歩です。
介護費用は初期費用が高額になりがち
介護費用は、在宅か施設かによって大きく異なります。在宅介護では、訪問介護やデイサービスの費用が月に数万円、これに加えて医療費や介護用品の購入費が発生します。おむつ代や通院代など、毎月一定の支出があることも含んでおかなければいけません。
一方、施設入居の場合は、入居一時金や月額費用がかかります。民間の有料老人ホームでは、毎月15万円から30万円程度必要になることもあります。
また、自宅での介護の場合、手すりの設置や段差の解消、車椅子対応にするなどのバリアフリー改修や、介護用ベッドの購入など、全体でかなりの初期費用がかかるケースも少なくありません。
家計全体を把握しておくことが大切
まずは親の収入と支出を一覧にし、毎月どのぐらいのプラスかマイナスかを把握しましょう。年金収入、貯蓄、保険の有無や加入内容も確認し、どの程度の資金が確保できるのかを明確にしておくことが大切です。
また、生活費や医療費、介護費用以外にも、食費や光熱費、通信費などを含めて家計全体を見渡すことで、支援制度の必要性や優先順位も見えてきます。
現状が赤字の場合には、公的制度や民間サービスの活用を検討することが必要です。
公的支援や医療費控除を積極的に利用しよう
子どもが無理をして全額負担する必要はありません。親の預貯金や年金、不動産などの資産を介護費用に充てることを検討しましょう。
また、介護保険制度をはじめとした公的支援や医療費控除などの税制優遇措置も積極的に利用することで、経済的な負担を軽減することが可能です。
兄弟姉妹がいる場合は、誰がどこまで費用を負担するのかを早めに話し合っておくと、後のトラブル防止につながります。
親の介護費用をサポートする公的制度・民間サービス
国や自治体、民間企業などが提供している制度を活用することで、介護にかかる負担を大幅に抑えられます。知っているかどうかで家計に大きな差が出るため、早めに情報収集しておきましょう。
生活福祉資金貸付制度ってどんな制度？
生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯や高齢者世帯を対象に、生活費や介護費用を低金利で貸し付ける制度です。社会福祉協議会が窓口となり、連帯保証人を立てる場合では無利子、立てない場合でも年1.5％程度の金利で借り入れができます。申請時には所得証明書や介護費用の見積書などが必要になりますが、相談員がていねいにサポートしてくれるので、初めての方でも安心です。
借り入れ後に収入が大幅に減少したり、健康状態が悪化したりして返済が難しくなった場合は、返済条件の見直しを相談することも可能です。
資産がない場合は生活保護を検討しよう
資産や収入が著しく少ない場合、生活保護の利用を検討しましょう。生活保護は最低限度の生活を保障する制度であり、医療費や介護費も扶助という形で支給され、介護サービスの自己負担分もカバーされます。
不動産がある場合は売却が原則ですが、処分価値が低かったり、売却が困難な立地条件だったりすると、そのまま住み続けられる場合もあります。
生活保護は最後のセーフティーネットとして、遠慮せずに相談することが大切です。
不動産があるならリバースモーゲージも視野に
リバースモーゲージは高齢者が持ち家を担保にお金を借りる制度です。
社会福祉協議会が窓口になり、原則65歳以上が対象となります。持ち家があるものの現金収入が少ない高齢者にとって、自宅に住み続けながら生活資金を確保できる手段といえます。
国が実施する公的なリバースモーゲージは、金利が低く設定されており、借入限度額は不動産評価額の70％程度です。
民間のリバースモーゲージもあり、旅行や施設入居資金など幅広い用途で利用できますが、条件や金利が異なります。
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親が認知症なら成年後見制度を視野にいれるべき
親の認知機能が低下すると、財産管理や契約手続きが難しくなります。認知症の進行や判断能力の低下に備えて、成年後見制度も検討しておきましょう。
成年後見制度で認知症の親の資金管理が可能に
成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した親に代わり、後見人が財産管理や契約手続きをサポートするものです。
認知症が進行すると、銀行での預金引き出しや介護サービスの契約などができなくなる場合があります。
家庭裁判所に申立て、親族または専門職が成年後見人として選任されることで、本人の生活や財産を守ることが可能です。後見人は本人の利益を最優先に考えて行動する義務があります。
経済的に困難な場合には、申立費用や報酬を補助する制度もあるので、費用面での不安がある方も利用を検討しやすくなっています。
子世代の援助は必ず記録を残しておこう
介護費用や生活費の援助を行った場合、その内容を記録に残しておくことが大切です。
年間110万円を超える援助は贈与税の対象になる可能性があるため、金銭をやり取りする際には、領収書や通帳などで記録を残しましょう。
兄弟姉妹間での公平性を保つためにも、誰がいくら負担したかを記録に残すことが重要です。
また、家族間でルールを決めておくと、お互いの負担感や不満が減ります。介護費用の分担方法や援助の上限額などを事前に話し合い、全員が納得できるルールを設けるとよいでしょう。
親の認知症が進む前に準備しておくことが大切
親の認知症が進んでしまう前に、資産や収入、保険内容を把握し、早い段階から資産管理の準備をしておくことが重要です。公的制度や民間サービスなども事前に調べておき、いざというときに迷わず動けるようにしておくと安心です。
家族で話し合いを行い、介護に関する考え方や分担の方針を共有しておくと、後々の混乱を避けられます。また、成年後見制度の申立書は裁判所で行うため、司法書士や弁護士などにあらかじめ相談しておくのもおすすめです。
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借金がある場合の介護費用対策は？
既に借金を抱えている状況で親の介護費用が発生した場合、債務整理を含めた総合的な対策が必要になります。借金返済と介護費用の両立は非常に困難であり、専門家のアドバイスを適切に受けながら解決策を見つけることが重要です。
借金で介護費用が払えないときは債務整理が最善策
借金がある場合、まずは現在の借入額や毎月の返済額を整理し、介護にかかる費用を加えた家計収支を見直しましょう。
借金の負担が大きい場合には、無理のない範囲で対応できるよう、返済計画の見直しが必要です。その際の選択肢として、任意整理や特定調停、個人再生や自己破産といった債務整理の方法があります。借金の総額や収入状況、保有財産の内容によって適した方法は異なります。
債務整理を検討する際は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、それぞれの状況に応じた最適な解決策を提案してもらえ、生活再建への道筋が見えてくるでしょう。
債務整理の種類を把握して自分に合った手続きを
任意整理は利息のカットや返済期間の延長が可能で、財産を失うリスクが少ない方法です。裁判所を通さずに債権者と直接交渉を行い、将来利息を免除してもらいながら、元本のみを3年から5年ほどかけて分割返済する手続きとなります。
個人再生や自己破産は、借金の減額や免除が認められる可能性がありますが、保有している財産や信用情報に影響が出る点には注意が必要です。個人再生の場合、住宅ローン以外の債務が整理の対象となり、一定の制約が設けられます。自己破産の場合は、手続きにあたって厳格な審査があるうえ、職業制限など一定の不利益が生じる可能性もあります。
認知症の親は成年後見→債務整理が必須
認知症などで判断能力が低下している場合には、本人に代わって子どもが債務整理の手続きはできません。債務整理は本人の意思決定を前提とした法的な手続きであるため、判断能力が不十分な状態では手続きを進めることは難しくなります。
こうした状況では、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てる必要があります。後見人が選ばれれば、代理人として債務整理の手続きを行うことができ、本人の利益を最優先に考えながら、方針を決定していくことが可能です。
なお、成年後見制度は債務整理だけではなく、財産管理や日常生活の支援も行う制度でもあります。制度を利用する際は、後見人への報酬や申立費用がかかるため、経済的な負担も考慮して利用を検討しましょう。
まとめ
親の介護費用は予想以上に高額になることが多く、子ども世代にとって大きな経済的負担になります。すでに借金を抱えている場合には、債務整理を含めた総合的な対策を検討し、専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を見つけることが重要です。
また、親の資産を優先的に活用し、家族の中で費用の分担について事前に決めておくことで、金銭的なトラブルを避けながら、無理のない形で介護を継続できます。
介護費用や借金問題でお困りの際は、当メディアで紹介している司法書士事務所や弁護士法人への相談を検討してみてください。債務整理や成年後見制度の手続きについても、経験豊富な専門家が親身になって対応してくれるはずです。一人で抱え込まず、必要な支援を受けながら、安心して親の介護と向き合っていくことが大切です。
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